ふれあいQ&A


2004年12月のQ&A


定率減税の縮減について Q&A 2004.12.18[Sat]
 自民、公明両党は15日、2005年度与党税制改正大綱を決定しました。そこで、最大の焦点となっていた定率減税の縮減をめぐる疑問点について、公明新聞に基づいて説明します。

一、定率減税とは、どのような減税ですか?

 1999年、当時の著しい経済停滞に対応し、個人の税負担を軽減するために導入されたもので、所得税額の20%(年間最大25万円)、個人住民税額の15%(同4万円)を減額しています。ただし、定率減税は臨時特例の減税であり、景気が安定し、個人所得課税を抜本的に見直すまでの間の特例的な措置として継続されてきました。

 定率減税は、バブル経済の崩壊、金融危機等によって長期にわたって経済が停滞するなかで、99年、小渕内閣の時に経済を再生させるために導入されたもので、個人の所得にかかる所得税(国税)と個人住民税(地方税)を軽減するものです。

 個人の所得にかかる税金(納税額)は、収入から各種の控除を差し引いた上で税率をかけて算出されますが、定率減税は、所得税の本来の納税額から一律20%、最高25万円まで、個人住民税も同様に一律15%、最高4万円を減額しています。年間の減税総額は所得税が約2兆5000億円、個人住民税が約8000億円で、合わせて3兆3000億円に上ります。

 ただし、定率減税はあくまで臨時特例的な措置であり、景気が安定すれば、いつかは元に戻さなければなりません。


二、なぜ定率減税を縮減するのですか?

 定率減税の扱いについては、「景気が最悪期を脱した以上、それを圧縮するのはやむを得ない」(日本経済新聞「社説」)との指摘が一般的です。定率減税の縮減によって生じる財源は基礎年金の財源に充てることになっており、将来の年金制度の安心感は家計や景気にもプラスの影響を与えることになります。

 2005年度の税制改正で減税率、減税の上限額とも一律、半分になります。所得税は06年1月、個人住民税は同年6月徴収分から実施されます。

 定率減税は、景気が安定するまでの措置であり、「永遠に続けられる政策ではない」(読売新聞「社説」)ものです。経済の現状について、竹中平蔵経済財政担当相は「来年度にかけて、そのまま不況過程に入っていく認識ではない」との判断を示しています。日本経済の足かせとなってきた銀行の不良債権問題も解決のメドが立つ中で、「経済が復調しているのに、いつまでも『緊急措置』を残すわけにはいくまい」(朝日新聞「社説」)との見方が一般的です。

 定率減税の取り扱いについては、2003年末に決めた04年度の与党税制改正大綱で、05年度以降の国民全員が加入する基礎年金に対する国庫負担割合(税金でまかなう分)の段階的な引き上げに必要な安定した財源として確保することを明記していました。それが今回の与党協議においても、公明党の強い主張によって、定率減税の見直しで生じる財源を年金改革の財源に充てることが改めて確認されました。

 年金財源を安定させることは、暮らせる年金給付の水準を維持し、保険料負担を増大させないための大切な手立てであり、中堅所得層に最も恩恵が及びます。将来の社会保障に対する安心感は、結果的に家計や景気にもプラスの影響をもたらすことになります。


三、景気に悪い影響を与えるのではないですか?

 景気を減速させないため、定率減税の縮減は05年度改正では、半分にとどめています。残る半分については、1年後の06年度税制改正論議の中で、改めて検討することにしています。05年度改正の縮減についても景気が悪ければ縮減幅の見直しを含め再検討することになります。

 自民党は現行の減税幅を半分に減らすよう主張しましたが、公明党は景気への影響を考慮し、05年度改正では3割の縮減にとどめ、中堅所得層の負担を緩和するよう主張しました。しかし、自民党が譲らず、5割縮減になりました。その代わりに、景気動向によっては、縮減方針を見直すことで合意しました。

 与党大綱には「今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する」と明記され、公明の主張で見直し規定が盛り込まれました。つまり、05年度改正の縮減分についても景気動向次第で5割縮減を見直しするということです。仮に景気悪化の判断が行われた場合、状況によっては06年1月からの半減もやめることになります。


四、負担が増えるだけではないのですか?

 定率減税の縮減によって、たしかに税負担は増加しますが、縮減分が年金財源に回るので、保険料負担が抑えられ、確実に国民全体の利益に還元されます。「負担が増えるだけ」という批判は的外れです。

 今回の自民・公明の政調会長合意で、05年度の定率減税縮減による増収分(06年1―3月、約1850億円)のうち、地方交付税への配分などを除き、無年金障害者の救済に100億円を回すとともに、1100億円程度が基礎年金の国庫負担割合引き上げに充てられるので、年金の保険料負担が抑えられます。

 定率減税は高額所得者に比較的有利な特別措置との指摘もあります。減税は縮減になりますが、国民全員が加入する基礎年金の国庫負担割合の引き上げに充てられれば、確実に広く、そして公平に国民全体の利益に還元されます。

 今回の税制改正を踏まえ、政府には歳出面を徹底して見直し、税金のムダ遣いをなくす目に見えた取り組みが一段と求められます。
イラク自衛隊派遣延長について Q&A(3) 2004.12.13[Mon]
五、大量破壊兵器は発見されず、戦争は間違っていたのではないか?

  イラクは過去に大量破壊兵器を製造し使用したことがあるため、引き続き保有しているのではとの大きな疑惑がありました。国連はイラクの大量破壊兵器放棄を迫る決議を17回も行いましたが、イラクは無視し続け、米英は国連決議に基づき武力行使に踏み切りました。日本政府は米英を支持、公明党は政府方針に理解を示しましたが、武力行使には反対で、事態の早期終結を求め続けてきました。

 イラクの大量破壊兵器保有についての疑惑として、@過去に大量破壊兵器を製造し、実際に使用した。Aイラクは12年間17回の国連安保理決議を拒否し、国連の査察に全くといっていいほど応じなかった。B国連査察委員会はVXガス2.4トン以上が破棄されたかどうか未確認、炭素菌1万リットルが破棄されずに残っていると考えられるなど、国連査察委員会は29項目に及ぶイラクの大量破壊兵器の未解決の問題を指摘しています。

 「イラクでは大量破壊兵器が発見されなかった」とした今回の米調査委員会の報告書にも「フセインに大量破壊兵器製造の意志はあった」と明記されています。イラクは、あのまま放置すれば、大量破壊兵器の製造は可能だったのです。

 日本政府は、米英が国連決議に基づいて武力行使に踏み切ったということで、米英の軍事行動を支持したわけであり、大量破壊兵器があることを理由にしたのではありません。公明党は、この日本政府の方針を「苦渋の選択であり、やむを得ないもの」と理解を示しましたが、米英の武力行使自体を支持したわけではありません。もう少し国際協調を図るべきとの立場から、米英の武力行使には「遺憾」の意を表明し、事態の早期終結を求め続けてきました。国連に対して、国連の一致した対処による解決を期待し、神崎武法代表がアナン事務総長に直接会って訴え、事態の収拾に向け、外交努力を重ねるよう一貫して主張してきました。

 以上で、イラク自衛隊派遣延長についてのQ&Aを終わりますが、これで皆様の全ての疑問にお答えしたとは思いません。

 又、派遣期間の延長を決定するにあたっても、小泉首相は現地の治安情勢については「予断を許さない」と指摘し、状況の変化によっては「退避したり、一部活動を停止したり、臨機応変に対処する」と自衛隊員の安全について万全を期す考えを示しました。

 どうか事態の変化を見誤ることなく適切な判断をお願いしたいと思います。又、日本の代表として命の危険を冒しながら汗して人道復興支援に貢献して頂いております自衛隊員の皆様のご健康と無事任務を遂行され元気な姿で家族のもとにお帰りに成られる事をご祈念申し上げます。
イラク自衛隊派遣延長について Q&A(2) 2004.12.12[Sun]
四、アメリカに追従して派遣延長を決めたのではないですか?

  イラク復興支援は、武力行使(開戦)に反対したフランス・ロシア・中国を含め国連安保理の全会一致で決まった国連決議に基づく国際社会の責務です。さらに国連はイラク民主化を来年末までに達成する決議も採択しており、派遣延長は、そうした国連決議に基づいて決定されました。また、日本が原油輸入の9割近くを依存する中東地域の安定は重要で、イラク支援は日本の国益にもかなっています。

 国連は、来年12月までのイラク国民による憲法採択と新政府樹立という政治プロセス(手順)を決め、その成功にむけ努力中です。まず、来年1月30日に国民議会の直接選挙が実施され移行政府が今の暫定政府に取って代わります。次に、移行政府は新憲法法案を策定し、国民投票によって新憲法を制定することになります。最後に新憲法に基づく総選挙を実施し、正式なイラク新政府が樹立されます。この期限が来年12月末です。イラクを復興し、イラクの国民に安全、安心、安定が訪れる日をめざし、世界各国とともに支援する必要があります。当面は来年1月の選挙を成功させるべきです。

 アナン国連事務総長は2月の来日時、自衛隊派遣について、「日本の役割は正しい。日本のイラクでの役割を賞賛したい。」「自衛隊の人道復興支援にも感謝している」と述べ、日本の国連協力を評価しています。

 イラクが復興できなければ破綻国家となり、テロリストの拠点となったイラクから世界中にテロが拡散します。イラクが不安定、混乱すると原油輸入が厳しくなり、わたしたちの生活にも大きく影響してきます。

 明日も、イラク自衛隊派遣延長についてQ&A(3)を掲載します。
イラク自衛隊派遣延長について Q&A(1) 2004.12.11[Sat]
 12月9日、政府はイラクで人道復興支援活動を進める自衛隊の派遣期間を1年間延長するとの閣議決定を行ないました。

 自衛隊派遣延長をめぐる問題について、公明党の考えを公明新聞に基づいて説明します。

一、なぜ、自衛隊のイラク派遣を延長するのですか?

 イラク南部のサマワ住民のために、まだ人道復興支援を継続する必要があるからです。地元では、自衛隊の活動が感謝されており、11月末には『帰らないで署名運動』が起きるなど活動継続を求める声が上がっています。現地住民の84%が駐留継続を望んでいます。

 イラクへの自衛隊派遣は、イラクの戦後復興を国際社会が助けて欲しいとの国連決議に基づき、日本が自主的・主体的に行なっています。これまでの派遣計画の期限が12月14日に切れるので、人道復興活動を引き続き行なうため、政府は派遣延長を決めました。現在、世界約30カ国がイラク復興支援のためにイラク国内で活動しています。

 イラク暫定政府のアラウィ首相は、『サマワの住民も大変評価しており、自衛隊による復興支援活動をぜひとも続けていただきたい』と話しています。

 サマワの地元ムサンナー県知事は自衛隊の延長について『県の住民の多数意見であり、さまざまなプロジェクト進展や市民生活向上のために陸上自衛隊の存在は必要だ』と述べています。

 11月中旬に朝日新聞と地元マスコミが共同でサマワなどで世論調査した結果、自衛隊駐留に「大いに賛成」60%、「おおむね賛成」24%と合計84%が望んでいます。

二、サマワは非戦闘地域ではなくなったのではないですか?

 サマワの自衛隊宿営地にロケット弾が着弾するなど散発的な攻撃はありますが、組織的、継続的なものではなく、イラク特措法にいう、いわゆる非戦闘地域に現在も変わりありません。また、イラク全土で戦闘が発生しているわけではありません。事実、サマワの自衛隊は人道復興支援活動を休んだことはありませんし、現地住民の9割が安全と考えています。

 11月中旬にサマワで実施した朝日新聞と地元マスコミの世論調査で、「現在の治安をどう思うか」との質問に、「非常に安全」69%、「普通に安全」21%という結果が出ています。サマワの人々の実に9割が「安全」と考え、だから居て欲しいと言っています。

 サマワの自衛隊宿営地にロケット弾が着弾するなど散発的な攻撃はありますが、組織的・継続的なものではないので、サマワは非戦闘地域です。自衛隊派遣を決めたイラク特別措置法では活動場所で戦闘行為が発生した場合は活動を中断することにしており、自衛隊員の安全確保を最優先で考えています。

三、自衛隊の活動は現地の復興に役立っているのですか?

 自衛隊の浄水・給水活動は、1日5万6000人分、200トンから280トンの水を供給しており、サマワ住民16万人の3人に1人が恩恵をうけています。病院や学校の修復では、1日あたり300人から500人の現地の人を雇用しながら、自衛隊員も一緒になって作業にあたり、すでに10校の学校修復が終了しています。

 日本は、自衛隊の人道復興支援とODA(政府開発援助)を「車の両輪」としてイラク復興支援を実施中です。主な成果(イラク全土)は次の通りです。

 ◎延べ30万人以上の雇用創出 ◎電力:発電所の復旧、変電器などの供与でイラク供給電力量の約10%を復旧 ◎医療・保健:病院の修復、医療機材や医療品の供与で年間延べ約400万人の利用体制の整備 ◎水・衛生:上下水道の修復・整備で延べ約200万人を支援 ◎教育・文化:学校の修復で延べ約610万人の生徒・学生を支援 ◎給水車、消防車両などの供与、通信網の復旧

 自衛隊は川の水をきれいにし(浄水)給水しています。民間のNGO(非政府組織)は浄水ができず給配水だけなので、当面は自衛隊が必要なのです。

 11月中旬の朝日新聞と地元マスコミが共同世論調査によると、自衛隊の駐留は住民の利益になるかと思うかの問いに、「大いに利益になる」43%、「ある程度利益になる」33%、合せて76%と高い評価を受けています。

 現在、イラクで人道復興支援活動に当たられている陸上自衛隊第六師団の皆さんには、イラクの治安情勢や自然環境の厳しい状況下の中、大変なご苦労をされていると思います。とにかく安全確保には十分に配慮していただき無事故で任務を遂行していただき全員が無事に帰国していたたくことを願っております。

 明日も、イラク自衛隊派遣延長についてQ&A(2)を掲載します。
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